ここ最近、「死刑」や「安楽死」について考えさせるニュースをネットで読んで、死刑について改めて勉強しようかなと思いました。
昔、死刑に関する分かりやすい本を読んだ気がして、Kindle内を探したら、本書を見つけたので読んでみました。
内容はだいぶ忘れていました。哲学者である著者が書いた本なので、少し難しめではありますが、筋道が通っていて読みやすいと思います。
この本では、死刑制度の是非について「死刑は廃止すべきだ」と答えを出しています。その理由と本のまとめを以下に書いていきます。
・死刑について議論するとき、「それはあなたの意見にすぎない」、「考え方は人それぞれ」という相対主義に逃げるのはだめ。普遍主義の次元で議論する意志が必要。
・道徳は相対的なものなので、道徳を使って死刑の是非に決着がつけられない。よって、死刑は政治哲学的に考えなければならない。
・死刑を考えるうえで、冤罪の問題は避けて通れない。冤罪は単なる人間のミスではない。公権力(取り調べや捜査など)は構造的に冤罪を発生させる可能性がある。
・冤罪の大きな問題は、①自白を無理やりさせられることがある。②再審するのに時間と手間がかかりすぎて、一回有罪判決がでると、覆しづらい。
・冤罪の問題は死刑と切っても切れない、よって、死刑は廃止すべき。
・しかし、人間には処罰感情が根強くある。死刑を廃止するなら、死刑より厳しい刑罰を設けることで、処罰感情に応えなくてはならない。
・終身刑は、死刑よりも厳しい刑罰になりうる。
内容が重たいだけに、なかなかハードな思考トレーニングになった本でした。
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