[本など]奇跡の社会科学 現代の問題を怪傑しうる名著の知恵(中野剛志 著)

前読んだ中野氏の財政の本が結構面白かったので、この人の他の本を探していたところ、Kindle Unlimitedでよさげなのがあったので購入しました。

社会科学の古典を紹介する本です。名著と言われている本を紹介していて、私もタイトルを知っているものがたくさんありました。

これは、と思った古典とそのまとめをざっと書いておきます。

マックス・ウェーバー「官僚制的支配の本質」

官僚制は、効率性と合理性を追求する。これらを徹底した結果、手段が目的化し、逆に非効率、非合理になる(縦割りやお役所仕事)。評価(大学の評価もそう)の数値化や行き過ぎたマニュアル化は、官僚制の負の面である、非合理、非効率を生む。

エミール・デュルケーム「自殺論」

共同体とのつながりがあると自殺者数は減る。個人主義者の方が自殺しやすい。ある程度の規律で拘束され、秩序がある社会の中で、満足している状態(足るを知る)が幸福である。

E・H・カー「危機の二十年」

国際政治の中のユートピアニズム(リベラリズム)とリアリズムを研究した本。政治は、理想と現実の相互作用で成り立つ。リアリズムの立場からすると、国際秩序は、軍事力や経済力といったパワーバランスである。ウクライナ戦争も、NATOの東方拡大にロシアが反抗して起きた。ロシアは、西側諸国によるリベラリズムの価値観の押し付けと捉えた。


特に、危機の二十年は、昔読んだことがあって、「この本ってこんなにすごかったのか」と思い、また読んでみようと思いました。

難しい古典を現代の問題に当てはめて、とても分かりやすく説明している本でした。

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