[本など]戦争の地政学

私の愛読している書評ブログ「琥珀色の戯言」で紹介されていた本です。地政学はここ最近、関連の書籍もたくさん出ていて、勉強はしようと思っていましたが、なんとなく触れないままになっていました。「戦争」というのは、個人的に興味のあるテーマで、これまでも色んな本を読んできています。その戦争と地政学の組合せということで、本書を手にとってみました。

この本を読むまで知らなかったのは、地政学というのはちゃんとした学問体系がなくて、地政学専門の研究者というのもいないということです。それだけ、「地政学」という言葉が広くて曖昧なものを扱っているということでしょう。

一番重要だと思われるのは、この本の根底の部分でもあるのですが、地政学には、「英米系地政学」と「大陸系地政学」の二つの視点があるということだと思います。英米系は、ランドパワーとシーパワーの対立から分析する地政学。大陸系は、ある国の生存圏・勢力圏の分布から分析する地政学です。かなりざっくりな説明ですが。

本書は、この二つの地政学を使って、第一次世界大戦、第二次世界大戦、アメリカの対テロ戦争、ロシアのウクライナ侵攻などを説明していきます。この方法で戦争を捉えると、複雑な国際政治が結構すんなりと理解できる気がします。どういう経緯でその国が戦争を始めたのか、というのが二つの地政学を使うとクリアになります。

例えば、第一次世界大戦後の日本を英米系地政学から分析すると、シーパワーの一部である日本がランドパワーの空白であるロシアへ拡張主義政策をとった結果戦争が起こり、他のシーパワーの国の不信を買うことになった、というような理解ができます。

本書の最後には、中国の拡張政策について書かれています。日本、アメリカ、インド、オーストラリアの4カ国で形成する「インド太平洋」と中国の「一帯一路構想」は、今後の国際政治の行方を決定づけるような重要な対立構造になるそうです。

今後、ニュースで国際政治に触れる際に、この本で読んだ知見を取り入れるとより一層理解が深まりそうです。難しいですが、非常に教養の深まる本でした。、

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